アプリケーション水分測定
校正サービスを将来にわたって安定的に供給するための露点計校正新設備が2024年6月より稼働, PST24-02
目次
校正サービスを将来にわたって安定的に供給するための
露点計校正新設備が2024年6月より稼働, PST24-02
1. はじめに
ＰＳＴジャパン株式会社では、2024年6月より校正設備を新たに増設し稼働を開始しました。
再校正（一般校正）のご依頼が毎年着実に増加しており、現行設備では間に合わなくなり、校正サービスを将来にわたって安定的に供給するため設備増強を行いました。
露点計の校正は露点発生装置で発生した露点を基準器と比較することにより行っていますが、本件において採用したMichell社VDSは、露点計トランスミッターの製造元であるMichell社が、その校正のために独自に開発した露点発生装置であり、当社でも長年の使用実績がある信頼性の高い装置です。また、基準器となる鏡面冷却式露点計は霜点-90 ℃まで測定可能なS8000RSとし、英国NPLにトレーサブルなUKAS校正されたものを使用しています。
| 露点校正室 | 露点計校正作業 |
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2. こだわり
今回の校正設備増設について特にこだわった点を解説していきます。
2-1. Michell社製 VDS（Vapor Delivery System）露点発生装置
今回の増設設備の露点基準器は、やはりMichell社製の鏡面冷却式を採用しています。
鏡面冷却式は、露点測定においては最も原理原則に従ったテクノロジーになります。鏡面をペルチェ+スターリングクーラーで冷却して霜が形成された温度を霜点温度として検出する仕組みです。
冷却にスターリングクーラーを採用することで従来品より小型・軽量化に成功しました（スターリングクーラーを採用したのはMichell社が世界初となります）。使い勝手にもこだわっており、タッチパネルの画面は日本語の選択が可能で、説明書なしでもある程度までは直観的に操作が可能です。
今回の基準器は、英国NPLにトレーサブルなUKAS校正を行っています。
2-2. Michell社製 鏡面冷却式露点計 S8000RS
今回、新たに設備を増設するにあたり、肝となる発生装置については実績のあるVDS一択となりました。
VDSはMichell社の発生装置の中でも最上位に位置し専用PCを操作することで-100℃までのガスを生成することが出来ます。発生される露点はより高い確度、繰り返し性を有し、制御安定性も優れています。
今回更にいくつかの改良を加えています。まず、吐出流量がカタログ品の3倍となるものを特注し、再校正品の同時処理能力も最大3倍まで拡張できる仕様としました。そして、露点発生装置本体/リザーバータンク/ドライヤー等を立体的にレイアウトする架台を新たに設計し、メンテナンス時のパネルアクセスを容易にすると共に、装置の専有面積を大幅に縮小しました。これにより校正室の有効面積が広がり、校正治具の配置の自由度や校正従事者の作業性が向上しています。
なお、加湿前のドライエアーは霜点約-100 ℃に達しておりますが、エアドライヤーを多段に設けることによりこれを継続して生成可能にしています。
2-3. 配管及び校正治具
配管は、基本に忠実にできるだけ少ない継手でシンプルかつ短く仕上げることで、霜点-90 ℃の設定において1時間当たり±0.1 ℃以内の安定性を実現しています。
軽視されがちですが、低露点領域を発生させる場合には配管の材質や分岐数、配管長によって応答時間が変わってきます。水分子のたまりやすい箇所を可能な限りなくすというのが校正設備の基本です。
露点計センサー（被校正器）を装着する校正治具は、従来設備で15年の継続使用にもリーク等の問題を一切生じなかったことから、同一メーカー/同一仕様にて製作し、入念に検査したのちに本設備に導入しています。
3. さいごに
以上のように、当社ではこれまでの実績やノウハウにより信頼性を担保しつつ、改良発展を加え、より一層の校正サービスの充実を図って参ります。昨年、校正依頼品が立て込んだ時期があり、納期に関するご協力をお願いしたユーザー様もいらっしゃいました。今回の設備増強により今後このようなことがなくなり、安定した納期でサービス出来るようになりました。
Michell社の露点計をお使いのお客様で校正や校正設備にご興味のある方には当社のラボを見学して頂くことが出来ます。また、新たに露点測定のお仕事に就かれた方向けの技術セミナーも開催しています。ご興味御座いましたら担当営業または、jp.info@processsensing.comまでお気軽にお問合せ下さい。
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