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HIPプロセス用UHPアルゴン中の微量不純物の測定, LD19-05
HIPプロセス用UHPアルゴン中の微量不純物の測定
アルゴンは、製鉄業、空気分離プラント、溶接産業、パージ処理、化学プラント、半導体などのさまざまな産業でそれぞれのニーズに合わせて使用されています。それぞれのアプリケーションで求められる要件を満たした純度のアルゴンを確保するには、優れた分析手段を備えることが必要です。
HIPとは?
Hot Isostatic Pressing―熱間等方圧加圧法とは?
HIPプロセスは、加工炉の内部を高温および高圧力で不活性ガスを組み合わせ、加工品を多孔化することなく、粉末を高密度に固着化させる技術です。温度は最大2,000℃以上、圧力は最大30,000psi以上にもなるため、内部を満たす希ガスは通常UHPグレードの高純度アルゴンが必要条件です。
HIP処理を実行する目的とは?
HIP処理は、製品寿命を延ばし、腐食や摩耗などの環境要因から製品を保護します。これは、強度、耐久性、耐腐食性などの材料特性を改善し、処理後の物質成分をより効率的に使用する事ができるようになる熱処理方法です。金属や合金などの材料物質の微細構造を変化させ、製品の耐用年数に役立つ特性(たとえば、表面硬度、耐熱性、延性や強度など)を伸ばします。HIP処理は、高温と高圧力を使用して、他の方法では不可能な工学的な特性を加味するために行います。HIPは、加工炉内での多孔化を防ぎ、カプセル化された粉末を高密度で固着化し、高密な物質に変化させます。異なる材料を結合して、ユニークで費用対効果の高い物質へ転化できます。
HIPプロセスで製品を製造する必要がある市場は?
HIP装置は、大量のチタン、アルミニウム、鋼鉄、超合金形成品などを処理し、金属表面の多孔子を取り除き、タービンブレードや油田地域などの各種設備に含まれる部品の性能を向上させます。
ほとんどの場合で製品が動作中に希望する長寿命性と耐腐食性レベルを保つためには、どのような状態の金属もその材質の特性を向上させるために熱処理が必要です。たとえば、自動車のエンジン部品を熱処理しなかった場合、数万キロではなく数百キロも使用する事はかないません。専門的な表面加工技術を使用して使用時の特性を向上させることは、特に航空機エンジンや潜水艦の石油およびガス用途などの過酷な環境では特に重要です。
HIPにガス分析が必要な理由
HIPプロセスに高温処理をしている時に化学反応を防ぐには希ガスを使用します。希ガスは、アルゴンがもっとも理想的です。HIPの品質と再現性をコントロールするには、HIPアルゴンガスとその不純物を常時監視することが必要です。一般的な品質管理では、UHPアルゴン中の不純物がH2/O2/N2/CH4/CO/CO2/NMHC/ H2Oが0-100ppmの範囲にあることが要求されます。
HIPの標準導入形式:
LDetek社の解決策
PlasmaDetek2検出器を搭載したMultiDetek2は、UHPアルゴン中のさまざまな不純物を測定する理想的な解決策です。
このシステムは2つのブロックで構成され、ブロック毎に1台のPED検出器が取り付けられています。各ブロックは、コンパクトな等温オーブンに内蔵された独自クロマトグラフィーカラムを搭載しています。ダイヤフラムバルブに取り付けられたサンプリングループ技術を使用して手軽にサンプルガスをPED検出器に引き込みます。
ブロック1は、微量H2/O2/N2/CH4/CO/CO2の測定に使用します。
ブロック1の構成は、カラムから出てくる不純物をプラズマ検出器(PED)に同期させるために、選択ダイヤフラムバルブを使用します。PEDは、各測定不純物の感度を高めるために選択的な光学センサーで構成されています。
ブロック2は、微量NMHC(炭化水素)の測定に使用します。
ブロック2の構成は、注入した軽い不純物を排出し、バルブ位置を元に戻すことでC2s/C3s/C4sの炭化水素が一括して1つのピーク(NMHC)としてグループ化され、PEDで検出されます。PEDには、炭化水素に選択的な適切な光学センサーを装備しています。
微量水分(H2O)分析には、要件に応じて2つの解決策があります。
- MultiDetek2に並列にミッシェル社の露点トランスミッターを接続します。露点トランスミッターの4-20mAアナログ出力は、MD2アナログ入力に配線され、すべての測定データをMD2のGCインターフェースで確認できます。この方法で、水分不純物をLDLで0.5ppmまで検出できます。
- LDL要件が0.5ppm未満の場合は、ブロック3に示すようにMD2内に水晶振動子マイクロバランス水分センサー(QCM)を取り付けます。この方法では、ゼロ-スパン校正システムがGCユニット内に結合され水分センサーをユニット内で統一して校正することが可能です。
ブロック3は、微量水分測定に使用します。
LDRACK コンプリートソリューション
結果
測定結果はアプリケーションノートをご参照ください。
LD19-05
MultiDetek2およびPlasmaDetek2を使用した、HIPプロセス用UHPアルゴン中の微量不純物の測定
結論
PlasmaDetek2検出器を搭載したMultiDetek2により、UHPグレードのアルゴン中の微量不純物の分析が1種類の検出器で1台のラックマウント機器で実現できます。キャリアガスとしてアルゴンを使用することで、運用コストの低減が見込まれます。MultiDetek2は、このようなタイプのアプリケーションのために市場で必要とされるすべての機能と産業用プロトコル/制御システムを備えています。
コンプリートタイプのLDRACKは、1台のラックにMultiDetek2とサンプルライン選択システムLDGSSをトレース、微量水分検出器を備えており、HIP炉メーカー、3Dプリンターメーカー、雰囲気制御メーカーの個々のアプリケーションにカスタマイズされた信頼できるソリューションを提供します。
推奨製品
小型オンラインガスクロマトグラフMULTIDETEK2
より厳しいガス品質管理を可能にする工業ガス/品質管理用の柔軟(カスタマイズ)性の高い小型のオンラインガスクロマトグラフです。
独自のPED検出方式と選択性を用いることで、いままでにない最小検出感度を実現しました。
コンパクトな筐体に複数のサンプルガス・キャリアガス・不純物検出に対応することで、いままで複数台のガスクロマトグラフで分析していたラインが1台にまとめられます。
MULTIDETEK2 製品ページ
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本記事のアプリケーションノートを公開しています。
下記、リンクよりダウンロード可能です。
LDetek社(カナダ)およびお取り扱いガス分析計は、下記URLをご覧ください。
Application Note: LD19-05 MultiDetek2およびPlasmaDetek2を使用した、HIPプロセス用UHPアルゴン中の微量不純物の測定 |
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ダウンロード | |
LDetek社紹介ページ | https://processsensing.co.jp/wp_pst/about-us/ldetek/ |
ガスクロマトグラフィー分析の基礎 | https://processsensing.co.jp/wp_pst/support/technology/gc_method/ |
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