水分測定
水分(露点)測定の基本-防爆エリア, MIL22-01
目次
●防爆エリア(hazardous area)とは?
●防爆認定機器とは?
- ・工場電気設備防爆指針-国際整合技術指針
- ・防爆構造電気機械器具の検定–国内防爆 TIIS
- ・防爆規格の相互認証制度-IECExシステムおよび登録型式検定機関
- ・外国立地の型式検定機関(指定外国検査機関制度)
水分(露点)測定の基本 - 防爆エリア, MIL22-01
露点温度(水分含有量)の測定は、とても複雑な課題ではありますが難しいことではありません。
間違った測定手法は、正確な計測の妨げとなるため様々な問題の原因になる可能性があります。火災や爆発など重大な事故を防ぐためにも、防爆エリア内でのサンプリングは細心の注意が求められます。
防爆エリアとは何か、防爆エリアで求められる規格、対応製品についてご紹介します。
防爆エリア(hazardous area)とは?
防爆エリアとは簡単に説明すると、機器の使用場所が爆発性雰囲気(または予期される)のエリアです。
経済産業省や労働安全衛生総合研究所などが作成する各指針(ガイドライン)で微妙に指し示すニュアンスが異なるので注意してください。
工事電気設備防爆指針(国際整合技術指針2020)第1編総則(労働安全衛生総合研究所) より引用抜粋
§3.2 用語及び定義 危険場所(area hazardous)
機器の構造、設置及び使用に対する特別な予防措置を必要とするような量の爆発性雰囲気が存在する又は存在が予期される場所
労働安全衛生総合研究所ホームページ より 2020年版の第1編総則 が公開されています。
閲覧に関して注意事項がありますので、ご確認ください。
プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン(経済産業省) より引用抜粋
§2.1.1. 危険区域に関する用語 危険区域(hazardous area)より:
機械器具(以下、「機器」という。)の組立て、設置及び使用のために特別な予防策を必要とする量のガス状の爆発性雰囲気が存在する、又は存在する可能性がある区域
防爆認定機器とは?
※防爆認定に関する証明書の一例
工場電気設備防爆指針-国際整合技術指針
工場や事業所において、可燃性ガスまたは可燃性液体の蒸気が爆発または火災を生ずる濃度で存在または空気中に発生する可能性のある場所で電気設備を設置または使用する場合に、電気設備が原因となり爆発および火災が発生するのを防止するために必要な事項を推奨基準として定めた指針です。
防爆構造電気機械器具の検定 – 国内防爆 TIIS
危険場所にて安全に作業が出来るように設計され、公益社団法人産業安全技術協会(TIIS) により電気機械器具防爆構造規格に適合し認定された機器が「防爆認定機器」です。これは、一般的に「TIIS」や「国内防爆(JPEx)」と呼ばれCSAやATEXをはじめとする日本以外で認定された規格は「海外防爆」と呼ばれ区別されています。
防爆規格の相互認証制度 - IECExシステムおよび登録型式検定機関
IECExシステム = IEC防爆機器規格適合試験制度
防爆機器に関する国際的な相互認証制度で、日本を含め36カ国(2022年1月時点)が参加しています。
指定外国検査機関制度と外国立地の型式検定機関
厚生労働大臣の登録を受けることで外国の認定機関が認定業務を行えるように制度が変更されました。労働安全衛生法の改定(平成30年1月)により外国登録型式検定機関としてCML(イギリス)、CSA(カナダ)、CSA UK(イギリス)、DEKRA(オランダ)が登録されています。
検定機関が増えたことで、型式認定までの時間が大幅に短縮され、現場への機器の導入がよりスムーズになりました。
防爆エリアの水分(露点)測定で大事なこと
防爆エリア(hazardous area)と非防爆エリア(non- hazardous area)で露点測定のポイントに大きな違いはありません。もちろん、防爆エリアで露点計を使用する場合は、選定機器が測定アプリケーションに合致する防爆認定を受けているかどうかをきちんと確認してください。
水分(露点)を測定するという手順に関するポイントは、「水分(露点)測定の基本 ー サンプリングのヒント」 でお知らせしているように、サンプルガスやサンプルラインに注意を払い設置場所を選定してください。
すでに既設のプロセスシステムを持っていて、新規に水分測定器を追加したい場合や既設の水分測定に関して疑問があるなどありましたら、お気軽にご連絡ください。また、水分測定を始めたいが、何をしていいか全くわからないなど、ゼロからのご相談でも大丈夫です。
防爆エリアの水分(露点)計の選定方法
防爆エリアで使用する水分(露点)計の選定は、まず測定アプリケーションにはどの分類が求められているかを理解することが重要です。
危険場所の分類
Zone0 ゾーン0 |
爆発性雰囲気が連続して存在する、または長時間存在する場所 |
Zone1 ゾーン1 |
爆発性雰囲気が通常状態で発生する事がある場所 |
Zone2 ゾーン2 |
爆発性雰囲気が通常状態で発生する事がなく、発生しても短時間な場所 |
爆発構造の種類
耐圧防爆構造 | da, db, dc |
内圧防爆構造 | pv, pxb, pyb, pzc |
安全増防爆構造 | eb, ec |
油入防爆構造 | ob, oc |
本質安全防爆構造 | ia, ib, ic |
機器グループ
Ⅱ | 工場、事業場用のもの |
ⅡA | 分類Aのガス又は蒸気に適用 |
ⅡB | 分類Bのガス又は蒸気に適用 |
ⅡC | 分類Cのガス又は蒸気に適用 |
ガス防爆の耐圧防爆構造タイプと本質安全防爆構造タイプは、機器グループIIでガスの爆発グループによってIIA、IIB、IICに分類されます。メタン(坑内爆発性ガス)はグループIです。粉塵防爆はグループIIIで、IIIA(可燃性粉塵)、IIIB(伝導性のない粉塵)、IIIC(伝導性のある粉塵)に分類されます。
爆発等級・発火度の分類
電気機器の温度等級に対応するガス又は蒸気の分類(国際整合技術指針)
温度等級 | 最高表面温度(℃) | 発火温度(℃)/td> |
T1 | 450 | >450 |
T2 | 300 | >300 |
T3 | 200 | >200 |
T4 | 135 | >135 |
T5 | 100 | >100 |
T6 | 85 | >85 |
防爆電気機器の機器保護レベル(EPL)
Ga | 特別危険個所 | ゾーン0 |
Gb | 第一類危険個所 | ゾーン1 |
Gc | 第二類危険個所 | ゾーン2 |
例えば、Easidew Transmitter I.S. だと…
例えば、
本質安全防爆対応 露点トランスミッターEasidew Transmitter I.S. のIECEx防爆認証は、「Ex ia II C T4 Ga(-20℃ to -70℃)」です。
この意味は、
Ex | IEC規格に基づく防爆構造であること | |
ia | 防爆構造の種類 | 本質安全防爆構造 |
II C | 機器のグループ | 分類ⅡCのガス又は蒸気に適用 |
T4 | 温度等級 | 最高表面温度が135℃以下 |
Ga | EPL(通常適用可能ゾーン) | ゾーン0(1.2含む) |
このように、認証記号からどの分類で認証を取得しているか知ることができます。
これをTIIS(国内防爆)で表すと、下記のようなります。
防爆構造の種類 | 本質安全防爆構造(ia) |
対象ガス又は蒸気の爆発等級及び発火度 | Ⅱ C T4 |
自分で防爆認証記号から測定アプリケーションに合うものを探すことも可能です。
水分(露点)測定は、環境条件に大きく左右されます。防爆認証が合致していても、測定ガス種と測定原理の相性が良くなかったり、組み合わせるフィルターが間違っているために正確な測定ができないことがあります。測定アプリケーションに適しているのかを適切に判断できているか不安がある場合は、ご相談ください。
防爆認定の露点計のご紹介
本質安全防爆対応 露点トランスミッターEasidew Transmitter I.S.
- TIIS 本質安全防爆構造(ia) 取得済
- IECEx Ex ia II C T4 Ga(-20℃ to -70℃)
- ATEX II 1 G Ex ia IIC T4 Ga (–20 °C to +70 °C)
- 推奨アプリケーション ガス中の水分測定
本質安全防爆対応 露点トランスミッターEasidew PRO I.S.
- TIIS 本質安全防爆構造(ia) 取得済
- IECEx Exd ia II C T4 Ga (–20 °C to +70 °C)
- ATEX II 1 G Ex ia IIC T4 Ga (–20 °C to +70 °C)
- 推奨アプリケーション ガスおよび液中の水分測定
国内耐圧防爆対応 露点トランスミッターEasidew PRO XP
- cml Ex
Ex d[ia] IIC T6 Gb, Ex tb IIC T80 °C Db IP66
*外国登録型式検定機関 - IECEx
Exdb ia II C T6 Gb Ex tb III C T80 °C Db IP66 Tamb -20 °C to +70 °C - ATEX
II 2 GD Exdb ia IIC T6 Gb EX tb IIIC T80 °C Db IP66 Tamb -20 °C to +70 °C - 推奨アプリケーション ガスおよび液中の水分測定
アドバンスト・ポータブル露点計 防爆仕様MDM300 I.S.
- IECEx Ex ia IIC T4 Ga (-20 °C…+50 °C)
- ATEX II 1G Ex ia IIC T4 Ga (-20 °C…+50 °C)
- 推奨アプリケーション ガス中の水分測定、スポットチェック用途
- CSA UK Exb ⅡB+H2 T6 Gb, Ex tb ⅢCT85℃ Db
*外国登録型式検定機関 - IECEx Ex db IIB+H2 T6 Gb, Tamb -40 °C…+60 °C
- ATEX II 2 GD Ex db IIB+H2 T6 Gb, Tamb -40 °C…+60 °C
- 推奨アプリケーション 石油化学、天然ガス
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Michell instruments社(イギリス)およびお取り扱い水分計は、下記URLをご覧ください。
Application Note: |
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アプリケーションノートはございません。 | |
ミッシェル社紹介ページ | https://processsensing.co.jp/wp_pst/about-us/michell-instruments/ |
テクノロジー紹介 | https://processsensing.co.jp/wp_pst/support/technology/ |
露点測定のよくある質問 | https://processsensing.co.jp/wp_pst/support/faq/ |
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窓口 | ミッシェルジャパン株式会社 モイスチャー事業部 |
メールアドレス | info@michelljp.lifcomweb.com |