機器の達成可能な測定の不確かさをさらに低減するために、外部接続の鏡面冷却式露点計を使用します。接続可能な鏡面冷却式露点計は、MBW473とMichell社 S8000 Remoteです。その他の機種は、装置後部のサンプルポートを介して接続します。
露点温度(DP)から相対湿度(RH)を換算するには、チャンバーの温度を連続的に測定する必要もあります。MBW473とMichell社 S8000 Remote は、チャンバー温度を記録する機能を持っています。MBW473は温度プローブがヘッドの先端にありますが、オプションのケーブルを接続してチャンバー内の任意の場所に配置することもできます。S8000 Remote はポートを介して露点センサーとは別に温度センサー単体で接続します。S8000 Remoteの露点センサーは、下図のようにリモートガードエアフィルター(部品番号:S8K-REM-TSG)と一緒に使用してください。
図 28:MBW RP2 & Michell S8000(ドアアダプターを含む)リモートヘッド
または、MBW SH2リモートヘッドをHG2-XLチャンバー内に完全に設置することもできます。
図 29:MBW SH2 リモートヘッド
相対湿度は、Sonntag/Hardy 方程式を用いて 演算されます。同じアルゴリズムが HygroGen2 にも実装されています。
4.2.1. 外部リファレンスの接続と設定 #
ご使用の外部基準器の取扱説明書もご参照ください。
Michell:
S8000 Remote は、RS232-USBコンバーターを内蔵しており、USB A>BケーブルでHygroGen2に直接接続できます。
MBW:
MBW 鏡面冷却式露点計の接続は、USB – RS232 アダプターとオス-メス RS-232 延長ケーブルが必要です。最適なアダプターについては、販売店にご相談ください。初期のユニットは Aten UC-232A USB-RS232 を使用することができ、それ以降のユニットはProlific ベースのアダプターで動作します。
安価なアダプターの中には純正部品でないものや、サポートが十分でないものもありますのでご注意ください。互換品を使用した場合は、機器間の通信が不安定になる恐れがあります。
基準器が接続され、電源が入り、機器に接続されていることを確認します。一度に機器に接続できる外部基準器は 1 つだけです。
外部基準器を設定は、「External」ドロップダウンメニューから 「Connection」を選択します。
図30 外部リファレンスの接続外部リファレンスの接
完了したら「Scan」をクリックします。
MBW:
「Select」をクリックし、「OK 」をクリックします。
Michell:
S8000 Remoteのシリアル番号を入力し、「OK」ボタンをクリックします。これでシリアル番号が 「Connected instrument」テキストに追加され、この機器の識別子になります。外部基準として使用する場合は、「Select」ボタンをクリックし、右下の 「OK」ボタンをクリックします。
S8000 Remote はシリアル番号を電子的に保存しません、生成された AutoCal 校正証明書にシリアル番号を表示する場合は手動で追加して下さい。基準器が変更されていないことを確認するため、S8000 Remote または HygroGen2 を再起動するたびに、S8000 Remoteのシリアル番号の確認が必要です。必ずS8000 Remote のシリアル番号が「External Reference Connection」画面に入力されたシリアル番号と一致していることを確認してください。
図31:接続デバイスのスキャン
Configure Reference画面で、現在のリファレンスとして 「External」を選択します。
図32 外部リファレンスの選択外部リファレンスの選択
4.2.2. 測定タイプ(MBWのみ) #
MBW は、外部基準によって決定された相対湿度値または露/霜点を使用するかを選択できます。露点/霜点が選択された場合、HygroGen2は相対湿度値を演算します。
図 33:測定タイプ(MBW のみ)
測定タイプを選択します:露点または相対湿度を選択します。露点を選択した場合は、補正セクションに進み、校正証明書データを入力してください。
4.2.3. 修正(MBWのみ) #
鏡面冷却式露点計の校正を受ける際は、校正事業者から補正を加えた露点校正と外部温度プローブに適用される設定値の補正表を要求してください。校正事業者によっては、霜点がゼロより低い点を示す場合があります。この場合、霜点を露点値に換算する必要があります。
換算は、HW4の「Psychrometric Conversion Utility」機能で行うことでできます(§6参照)。「External」ドロップダウンメニューの 「Corrections」オプションにある2つの表から、測定器の校正証明書に記載されている補正値を入力し、「Applied」ボタンを押してください。
図34:外部リファレンス補正
補正が適用されている場合、機器が使用する露点と温度の値は補正値です。補正前の値が必要な場合は、「Applied」ボタンをオフに切り替えると、機器は外部基準の読取値を使用します。
4.2.4. 校正情報(MBW & S8000) #
外部基準器の校正に関する情報は、「External」 ドロップダウンメニューの 「Calibration Info」 オプションから入力します。
図 35:リファレンス校正情報
異なる基準が使用された場合、機器は新しい基準器用の新しい補正と校正情報を入力するよう警告します。校正の補正値と情報は、使用された基準器ごとに機器に保存され、該当の基準器が再度使用された場合は適切な測定器を再適用します。
4.2.5. Advanced (コマンドラインインターフェイス) (MBWのみ) #
「External」ドロップダウンメニューの 「Advanced」 オプションを選択すると、 MBWのコマンドラインインターフェイスが表示されます。使用可能なコマンドの詳細については、MBW の取扱説明書を参照してください。
4.2.6. ベストプラクティスと注意事項 #
鏡面冷却式露点計の操作については、準ずる取扱説明書を参照してください。
ただし、特に注意すべき点がいくつかあります:
A) 露/霜コントロール #
鏡面冷却式露点計は、露(または霜)膜が形成される正確な時点まで鏡面温度を正確に制御することにより機能します。この露(または霜)点は、特定の圧力における気体中の水分レベルの温度に依存しません。鏡面は、鏡面制御のスイッチがオンになっている場合にのみ露点を測定します。機器は、次の場合に警告します。:鏡面制御がオフになった場合、または外部基準の読取値が安定しない場合
B) 鏡面清掃 #
信頼性の高い測定を行うためには、鏡面が汚れていないことが非常に重要です。被試験機器の油膜やその他の汚れが鏡面に付着する恐れがあります。鏡面清掃の手順については、該当の取扱説明書を参照してください。
C) HygroGen2チャンバーの清掃 #
使用環境によってはHygroGen2チャンバーが汚染されることがあります。表面上、機器は安定した動作状態に見えるが、外部基準器では汚染物質が鏡面上に凝縮するにつれて徐々に上方にドリフトする傾向があります。この傾向は、機器内部に吸着した汚れ(汚染物質)の兆候、あるいは新しい機器の場合は使用初期に確認されることがあります。ドリフトをリセットする鏡面清掃(電子的または物理的)を行うことで、汚染物質の存在を確認することができます。
この問題を軽減するに粒状活性炭(GAC)のトレイでチャンバーを満たした状態で、60℃ >50 %rhで 2 日以上 機器を継続運転することを推奨します。
GACの実用的な量を使用してください。HG2-Sの場合は、チャンバーがほぼいっぱいになるような容器にGACを充填します。HG2-XLの場合は、GACを充填した大きな箱型のプラスチック容器を3つほど使用します。
その後、鏡面清掃を実施し読取値に段差が生じないことを確認すれば、汚れが除去されたことが確認できます。
D) 過冷却水:露または霜の形成層の強制しきい値 #
露点測定では、露点が氷点下の相対湿度条件(通常-7.0~0℃)に注意してください。鏡面に霜ではなく過冷却水が存在することがあり、露や霜の膜が形成される温度が僅かに異なります。MBWにはForce Frost機能、S8000 Remoteはフロストアシュアランス(FAST)機能があります。
MBWの標準Force Frostのしきい値は -5 ℃です。Force Frost 機能の使用を推奨しますが、露点/霜点が0 ℃~しきい値の間になる設定値のプログラムは避けてください。S8000 RemoteのFAST機能はオンまたはオフのどちらかを選択できます。
注意
HW4(§6参照)には、露点を演算する便利な計算機能があります。例: 15 %rh@23℃の露点は-5 ℃dp、21.5%rh@23 ℃は-0.15℃dp。つまり、23 ℃では15-22 %rhを設定ポイントとして避けてください。
E) 極端な温度と湿度 #
挿入する基準器や被試験器と同様に、機器の測定範囲の極端な範囲ではステム伝導を考慮する必要があります。
50 ℃ x 90 %rh、または 60 ℃ x 80 %rh より高い条件では、RP2測定ヘッド全体をドアの内側に取り付けることを推奨します。極端な条件下で周囲条件との熱伝導がある場合、コールドスポットで結露が発生します。
図36:ドア内面に取り付けられたプローブ
9~17mmのケーブルグランドを備えたHG2-B8-9バングを使用すると、ヘッドケーブルをドアの外側から固定でき、さらに絶縁性を高めることができます。