ジルコニア式酸素測定技術
ジルコニア式酸素センサー(酸化ジルコニウム酸素センサー)は、酸素濃度%を測定するのではなく、ガスまたは混合ガスの酸素分圧を測定します。
PST-04-01_sensor酸化ジルコニウムセンサーは、固体電気化学セルの原理に基づいています。 イットリア安定化酸化ジルコニウム層は、通常+600℃~+700℃に加熱されると酸素イオンが高濃度から低濃度に流れる固体電解質(イオン導電性固体)の性質を持ちます。
イオンが位相間を移動すると、内外電極間に酸素濃度比による起電力が発生し、酸素濃度を決定します。
電極間の酸素濃度の差が大きいほど、生成される電圧が高くなり、100%から100万分の1未満(ppmレベル)までの測定が可能になります。
ジルコニア式は、酸素イオンの特性を指して「濃淡電池式」とも呼ばれています。
- 酸化ジルコニウム(ZrO2)酸素センサーの特長
-
- 固定電解質
- 乾式
- 酸素イオンの淡から濃への移動を補助する
異なる酸素濃度のガスを流すことで酸素イオンに流れが生じ、イオン流が生じることで電流値に差が表れ、電流値を酸素濃度として測定しています。 一般的にはサンプルガスはサンプルより濃度が低いものを使用し、電流値(酸素分圧の比)を測定します。
酸化ジルコニウム酸素センサーは、高温下でのみ活性化する特性があり、高温下でないと使用ができません。
酸化ジルコニウム酸素センサーは、そのままサンプルラインに暴露(取付け)するだけで測ることができるので、サンプリングシステムなどの専用の設備を必要としません。 さらに、大気を基準として用いているので、リファレンスガス及び比較用に特別なガスを用意する必要もありません。
しかし、サンプルに可燃性物質が含まれている場合、酸素センサー自身を高温に保っているため燃焼反応を引き起こす危険性を含んでいます。 サンプルライン上に酸素が含まれていたとしても、燃焼反応によって酸化ジルコニウムに含まれる酸素を消費してしまうため、可燃性ガスの測定には向いていません。
ジルコニア式酸素濃度計(センサー)の特長
PSTグループは、燃焼プロセス用の幅広いジルコニア式酸素濃度計をラインナップしています。プロセスの炭素排出量を削減し、燃焼などの重要なプロセス工程の効率向上に役立ちます。燃焼効率プロセスの最適化に役立つ独自の機能とメリットをご紹介します。
- 0.1 %O2から25 %O2まで正確に測定
- 長寿命-消耗が少ないセンサーセル技術
- メンテナンスサイクルの長期化、導入手順の簡素化
- 新鮮な空気(20.7 %O2)または既知の酸素濃度で校正
- 400⁰Cまでのガス温度に対応
- ISO9001:2015認定工場で製造
SST社 ジルコニア式酸素計
SST社のジルコニア式酸素センサーは「酸素濃度%」ではなく、「ガスまたは混合ガス中の酸素の 分圧」を測定します。
SST社のジルコニア式酸素センサーはリファレンスガスを用意する必要がありません。
酸化ジルコニウム(ZrO2)センサー技術
高温(> 650°C)では、安定化された酸化ジルコニウム(ZrO2)は2つのメカニズムを示します。
PST22-04-2_ZrO2-method酸化ジルコニウムは、酸素分子を解離させてイオン化させる電解質の特性があります。 円板状の酸化ジルコニウムには、ポーラス状の薄膜電極が塗布されており、一定の直流電流を流すことで大気中の酸素イオンを透過させます。 ファラデーの電気分解の法則より各電極で発生した物質の量は、流れた電荷に比例するため以下の式が成り立ちます。
酸化ジルコニウムは電解質のようにふるまうため、もし異なる酸素分圧が存在した場合、ネルンストの式より電圧が発生します。 この電圧は、異なる二つのイオン濃度の自然対数比と比例関係にあります。
いずれかの法則は、さまざまな酸素濃度計に採用されているテクノロジーですが、SST社ではその両方を活用しています。 それにより密閉されたリファレンスガスの必要性がなくなり、幅広いアプリケーションに対応可能となりました。