光学式酸素測定の測定原理
光学式酸素センサーは、酸素分子と有機金属化合物間の発光と消光現象に基づいています。
物質(有機金属化合物)には、エネルギー変化(吸収放出)に応じて、そのエネルギーを光で放出する特性をもつ物質があり、一般的に発光体(ルミネッセンス)/蛍光体を呼ばれます。
SST社設計開発 LuminOx(ルミノックス)酸素センサー
LuminOxセンサーの特長は、発光(ルミネセンス)の減衰進度から酸素濃度を測定することです。
これは、従来のジルコニア式(濃淡電池式)や電気化学式、ガルバニ電池式の酸素測定とは全く異なる分析手法です。酸素センサーには、鉛などの有害物質を含む製品(例えば、ガルバニ電池式など)もあります。光学式センサーは、発光消光現象に基づいているので有毒物質(鉛など)を含まず、RoHSに対応した非消耗型のセンサー構造です。
- 非消耗型のセンサーは、大きく2つのメリットがあります。
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- センサーが時間の経過とともに消耗しない
- 測定酸素量にセンサー消耗度が依存しない
光学式酸素センサー『LuminOx』の動作原理
LuminOxセンサーは、センシング部の構成部品点数も少なく、青色LED、ダイクロイック・ミラー、フォトダイオードとPCBから成り立っています。
青色LEDからの光線は、一定の強さでコーティングされたダイクロイック・ミラーに照射されます。光線がミラーを透過する際にミラーが干渉フィルターの役割を担うことでフォトダイオードは、特定の波長の光のみを選択的に受け取ることができるようになります。
この励起された発光(ルミネセンス)現象の減衰進度は、特定の温度で酸素進度に反比例します。青色LEDから選択的に取り出された光は、高精度温度センサーを搭載したPCBに取り込まれ、タイミング回路で処理されます。この温度センサーと高分解能の大気圧(圧力)センサーをPCBに搭載することで酸素の分圧が計算できるようになり、最終的に酸素濃度(パーセント)が算出されます。さらに、PCBに搭載されている大気圧センサーを活用することで、高度や真空度に合わせた測定も可能です。
これらの情報(酸素分圧、温度、圧力、酸素濃度)は、UART経由で外部に出力されます。
青色LEDがONになると、発光(ルミネセンス)現象により振幅が増加します。
この発光(ルミネセンス)の減衰率は、低酸素濃度ガスの場合、減衰進度が下に向かって緩やかな勾配になります。
これは酸素が混ざったサンプルガスの場合、その酸素がダイクロイック・ミラーのコーティング材に含まれる石英と結合して発光を抑える働きをするため、発光の減衰進度に影響が現れます。この減衰進度は、タイミング回路で測定され、その他の温度、圧力パラメータとともに計算され、最終的に酸素分圧及び酸素濃度が導き出されます。
光学式酸素センサー『LuminOx』のメリット
部品が少なく、非消耗型のセンサー構造でメンテナンスの複雑さと頻度が大幅に削減されます。また、センサーに有害物質を含ないRoHS対応センサーです。特許取得済み(SST社)の技術により、低電力動作と長寿命を提供するセンサーを提供することができます。
一般的な、光学式酸素センサーの測定では温度と圧力の一定にすることが求められますが、LuminOxセンサーは温度センサーと圧力センサーを内包し、圧力と温度変化を補正します。
- 特長
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- 真空で使用可能
- 圧力変化の影響を受けない
- センサー寿命が長い
- 酸素に選択的に反応する
- 推奨アプリケーション
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- ポータブル酸素発生器
- 環境測定チャンバー
- 生鮮食品の貯蔵
- 3Dプリンター
- インキュベーター
- ネブライザー(吸入器)
- 半導体ウェハー装置
- 埋立地ガス